遙か彼方


懐かしい声がした。

聞きたくて堪らなかった声がした。


でもこれは夢。

夢の中に出てきてくれたんだね。

私の愛しい人。



「美桜!」


何?


「みーおー!」


聞こえてるよ。


「滝沢美桜ぉー!」


えっ、何でフルネーム?


「たーきーざーわーみーおー!!」


………え?



するといきなり肩をポンポンとされて私は目を開けた。

叩かれた方に視線を向けるとそこには眉間にシワを寄せた先生が立っていた。


寝てたのがバレた。

そうか先生が私を呼んでいたのか。

半分夢の中だったから先生の声が彼の声に変換されたんだな。


「滝沢…」

「はい。すみません…」


でも寝てたの私だけじゃないと思う。

何で私だけなんだ。

私何か悪いことしましたか?




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