遙か彼方


それから彼は今までのことを教えてくれた。


ハルカに帰る途中、もう死ぬのかと思ったって。

だけどハルカに着いたら、彼が帰って来たのとほぼ同時くらいにアメリカに派遣されていた人が帰って来て。

そのアメリカに派遣されていた人がハルカの病気の特効薬を持って帰っていた。

そのお陰で彼は助かったって。



私の知らないことばかり。

まず日本以外にもハルカの派遣部隊が送られていることを知らなかったし、特効薬が完成していることも知らなかった。


そうか。

特効薬が完成したからハルカのことを公(オオヤケ)にしたのか。



「それからすぐには戻って来れなくて。ちょっと時間かかっちゃった。ごめんね?」

「ううん。全然いい」


戻って来てくれただけでいい。

無事でいてくれて良かった。

本当に良かった。



「奇跡だよね。僕が助かったの」

「…ねぇ葵?」

「何?」




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