遙か彼方
エピローグ
「葵、もうどこにも行かない?」
「うん。行かないよ」
「私の傍にずっといてね」
「うん。ずっといるよ」
「大好きだよ」
「僕も。大好きだよ」
あの夏の出来事は、私の人生を変えた。
変えたのはお父さんでもお母さんでもない。
もちろん佐山さんでもないし、葵でもない。
紛れもなく“私自身”だ。
「コラー!滝沢ー!教室に戻りなさーい!!」
あ、忘れてた。
校舎に振り向けば先生が窓から身を乗り出して怒っていて、窓際にはクラスメートがズラーッと張り付いてみんなニヤニヤしてこっちを見ていた。
「に、逃げよう!」
「え?美桜?」
私は彼の手を取って走り出した。
「コラー!どこ行くー!」
これからの私の人生はどうなるかは分からない。
未来は誰にも分からない。
でも1つだけ分かっていることがある。
それは────。
“遙か彼方”の星から現れた彼が
今は私の“隣”にいる。
おわり