遙か彼方
やっぱり夏休みのせいか人がいない。
いつもなら学生たちが沢山居るけど、夏休みになってから最近ではほとんど見ない。
今日は椅子に座っている人も居なければ、私の通る所から見える本棚にも誰も居ない。
司書の人と私以外に誰も居ないのかもしれない。
図書館の一番奥に行くと、蛍光灯の明かりもあまり届かない。
一度奥の本棚を左に曲がれば、そこが私の場所。
人が来たことは一度もない。
近くに来ることすらない。
壁面の本棚には分厚い専門書がびっちり。
その向かいの本棚にも同じような本がびっちり。
本棚と本棚の間はせいぜい1m。
私はそこに腰を下ろす。
背中には腰丈の小窓の付いた壁があって、そこに背中を預けた。
小窓にはカーテンが付いている。
白くて薄いカーテン。
陽を遮る働きはあまりしてくれない。
座るとちょうど頭の上に窓枠が来る。
だから直接陽が当たる訳じゃないけど、窓際は外の熱気が伝わるのか少し暑い。
でもこの窓際じゃないと薄暗い。
ここ、図書館の一番奥、小窓の前は私の唯一の居場所。
……お尻は痛いけど。