遙か彼方



まずは彼がここに居る理由から。


この4ヶ月の間に、今まで彼を図書館で見たことは一度もない。

なのに夏休み中の人気のない図書館に彼は現れた。


それは何故?



「ここからヒマワリが見えるから」

「……ヒマワリ?」

「そう」

そう言って彼は立ち上がりカーテンを開ける。

すると窓の外にヒマワリが現れた。



そこは車一台が通れる様な砂利道で、その砂利道の向こう側の花壇には20本程のヒマワリが満開に咲いていた。


「好きなの?」

「うん。憧れる」

「ヒマワリに?」

「うん」

「どうして?」

「……………。美緒は?好きな花ってある?」


明らかに話を逸らされた……。

言いたくないことだった?

なら、ここは空気を読んで話を逸らされたことはスルーしようか。



「私は桜の花が好き」






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