遙か彼方
話がそれてしまったけど、私は彼の謎を解いているんだった。
でも彼は言いたくないことは言わない。
逆に私が質問をされる始末。
私だって言いたくないことは沢山ある。
だから彼が言いたくないことは追求しないでおこう。
それじゃ彼の謎は解けない気もするけど……。
何を聞けば答えてくれるんだろう。
「葵は今何歳?」
「18だよ」
「18?今年19?」
「ううん。今年18」
「……………」
それはおかしい。
だって大学1年生は今年19、浪人していたらそれより歳上の筈。
「あ……」
彼は“しまった”という声を出した。
「ここの学生じゃないの?」
「……そういうことになるのかな」
曖昧な彼の言い方から察するに、本当は隠しておきたかったことだったみたい。
墓穴を掘ったのは彼自信だ。