遙か彼方
話の内容にすでに着いていけていないのは分かっていた。
けど私は、必死で彼の話に耳を傾けた。
「ハルカに太陽の光は届かないんだ。でも太陽のような星はある。その星は太陽よりも小さくて距離も若干遠い。だから僕らの肌は白いし、髪や目の色素も薄いんだ」
宇宙が広いなんてことは当然に分かっていることだけど、知らないことは想像以上に山程ありそう。
だけど、私の知らないことを彼は沢山知っている。
ううん。
知りたくなくても知ってしまう環境にいるんだ。
私……、地球に生まれただけで幸せなのかもしれない。
「美桜?」
「あ、ごめん。聞いてる」
いけない。
すっかり自分の世界に飛び込んでいた。
「でね、太陽が原因なのは分かってるのに、治療法が見つからなかったんだ。で、分かったことが寿命の短いハルカの人間では治療法を見つけることは無理だということ。だから地球に来た」
外はいつの間にか、雨が降ってきていた。