遙か彼方
「その研究がこの大学で行われてるんだけど、僕の存在は研究員たちだけの秘密なんだ」
「え?私……」
聞いてもよかったの?そう言おうとした。
「いいよ。一人くらい」
言い終わらない内に即答されてしまった。
「そう」
長い話も終わりに近付いてきたらしい。
彼の話の勢いが止まる。
この隙にさっき奇跡的に思い浮かんだ質問をしてみようと思う。
「葵はどうして地球に来たの?」
「あー…、研究する為には情報が必要でしょ?」
「うん」
少し困った顔をしているのは気のせい?
「ハルカから数人、絶えず地球に派遣されて来るんだ」
「そうなんだ」
何かをまだ隠している、そんな感じがした。
「そろそろ帰ろうか。雨も強くなってきたし」
「あ、うん」
「……美桜」
「何?」
「僕のことが怖い?」
それはさっき一度された質問だった。