遙か彼方



食堂に行くと佐山さんは寮母さんとテーブルで楽しそうに話をしていた。


「あ、美桜ちゃん。おはよう」

私に気付いた佐山さんが話を中断する。


「おはようございます」

「朝ごはんは食べた?」

「はい」

「うん。じゃあ行こうか」


そう言って佐山さんが椅子から立ち上がる。

その後に次いで寮母さんも立ち上がった。


「気を付けてね」

「話、いいんですか?」


私のせいで途中で中断させてしまった気がする。


「いいの。ただの世間話だから」


寮母さんはいつでも寛大だ。

心が広い。


「また来ますね。行くよ、美桜ちゃん」

佐山さんは寮母さんに頭をペコッと下げると、食堂を出ていく。

「あ、行ってきます」

「行ってらっしゃい」

私はそんな佐山さんを追いかけた。






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