遙か彼方
私の雰囲気が変わったとすれば、彼と会ったことが影響していると思う。
でもそれを人に言うには、まだ私の心はそこまで回復していない。
やっぱり必要最低限伝えたいことを伝えればいいと思っている。
「恋でもしたかなぁ」
「無いです」
「あ、そ?」
恋ではない。
彼は唯一の話し相手。
佐山さんには悪いけど、佐山さんはお父さんと繋がっていると思うと全てを話せない。
だけどもし佐山さんが誰にも話さないと言っても、私は話せない。
でも彼になら話せると思う。
まだ肝心なことは何一つ話していないけど。
話せるとしたら彼しかいない。
だから……恋ではない。
宇宙人だって知ってるし。
恋はこの先もきっとしないだろう。
「着いたよ」