遙か彼方
彼とお父さんは知り合い?
どういうこと、なんて考えなくても分かる。
お父さんはハルカの病気について研究しているんだ。
それ以外にお父さんを知る理由がない。
自分の家庭を放置して、よその星の病気の治し方を研究しているの?
言い方は悪いけど、どうしてもそう思ってしまう。
ハルカにとっては救世主に成り得るのかもしれないけど、私にとってお父さんは破滅の元凶。
そんなお父さんに明日会いに行くのか……。
なんだか憂鬱になってきた。
「美桜」
「何?」
彼は手を離して、壁に背中を付けた。
離れた手が名残惜しく感じる。
まだ手を繋いでいたいと思うのは私だけ?
すると、彼の手が伸びてきた。
「うつかりたくなっただけ」
私はその手を取って、隣に移動した。
「明日、頑張ってね」
「うん……」