遙か彼方
そこは部屋の真ん中に6つのデスクをくっ付けて、分厚い本やら何かの資料やら紙くずやら、とにかく散らかり放題だった。
そこに埋もれている人物が3人。
ひとりは入り口側に座っていてパソコンと向き合っている。
あとのふたりは奥側で頭がちょこんと見える程度。
「失礼します」
いずれも私達が入って来たことに何の反応も示さない。
「こっち」
佐山さんが少し屈んで小さな声で言った。
呆然と部屋を見渡していた私はその声に反応して、佐山さんの歩く後ろに続く。
佐山さんは一番奥の頭の人物に向かっているようだった。
あれがお父さんの頭?
本当に頭頂部しか見えなくてあれがお父さんなのか分からない。
扉側の人物の後ろを通る時、軽くパソコンを覗いた。
けど、何が書いてあるのかさっぱり分からなかった。
そうして回り込んで行くと、お父さんらしき人のデスクに到着する。