あのころ、グラフィティ
「なによ。もっといればいいじゃん。」

「いろいろあんの!二人きり~で話したいことたくさんあるんだから!」

「あたしだって、話したいことあんのに。」

「離婚したことはまた後で話せばいいじゃん。」

「今言うなよ。」

「まぁまぁ。ささ、マコちん行こ!」


珠子さんは、僕の背中を押して、八百花から出る。





「ふー...まいったまいった。」

「あの、僕はいつまで嘘つくんですか?」

「そんなのずっとだよ。バレたらまずいの!」

「まずいって...何が?」

「ん~マコちんはぁ、わかんなくていいの。...いい!?あたしがちゃーんとフォローするから。、、まず、呼び方とかみんなとどんな関係だったのか教えるね。マコちんは、あたしのことたまちゃんって呼んでたの。」


彼女は泣き虫の珠子、里山珠子(サトヤマタマコ)。僕と同じ高校3年生。
昔から仲が良く、常に一緒にいた一人なんだって。

その珠ちゃんの姉、桜ねぇ。里山桜(サトヤマサクラ)は、昔から負けん気と喧嘩が強く、元レディース総長だったって。


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