あのころ、グラフィティ


両親は離婚。
母親と一緒に暮らしていたみたいだが、その母親も事故の日から、目を覚まさない。
記憶のない僕には、どうそこにいていいかわからない。
僕の代わりに、母親のお母さんが付き添ってくれるらしい。


医者からは、記憶喪失はすぐ治ると言われたが、今の今まで一度も何かを思い出したことがなかった。。
そこで医者が、思い出のある環境に移れば、思い出すかもしれないと提案し、ここへ。



家の前に着いた。

本当に古びた家だ。


インターホンを鳴らす。その手は少し震えてた。



中で音が鳴るが、人の返事や気配も感じない。



もう一度押そうか。いや、玄関を開けてしまおうか...

考えていると中から、ドタドタと走って来る音がする。




と、思ったら玄関のドアが開き、小さな男の子が、僕にぶつかった。



「悠太ぁ!…ぁ?」


この家の人らしき女の人が、僕を見つける。
年齢は40後半ぐらいだろうか。。
目を覚まさない母親に似てる。


「...どなた?」

「あ、えっと...あ、永瀬マコです。」


自分でこの名前を言うのは恥ずかしい。


「マコ?あぁぁ!マコくん!?」

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