あのころ、グラフィティ
あたしはイヤだと無言で手を振った。


「いいの~?マコ待ってるよ?」


あたしは手でバツをつくった。


「しょうがない子だねぇ。あんたも。」


ねぇちゃんは戸を閉めて、階段を下りていった。



「マコ~ごめん。会いたくないらしい。」

「...そっか、じゃぁまた来ます。...今日花火大会行くって約束したし、」

「そうしな。あいつのことだから、気変わってなんもなかったかのように、飛んで来るとと思うよ。」


ふんっ!
あたしを甘く見すぎだね。


「だといいけど。...それじゃ失礼します。」

「マコ!......野菜、、、買っていきな!」





「...はい。」


あーあ、買わされてやんの。








花火大会は夜8時に行われる。
それまでに場所取りなんてことをしなきゃいけないんだけど、あたしには関係ない。

特別な場所があるから。



マコちんが迎えに来ないうちに、家から出る。


準備はオッケェ!
虫除け、懐中電灯にお菓子、水筒...


マコちんなんかいなくても、全然いいもんね。
毎年、こうやって過ごしてたんだから。





7時。

あたしは特別な場所へとやってきた。

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