あのころ、グラフィティ
今はあたししか覚えてない。
この場所もこの言葉も。
記憶って時に残酷で、苦しい。
打ち上がる花火を見上げながら、涙が流れる。
あたしだけ変わらないまま、、ずっと泣き虫なまんま。
ぐすんと花をすすった、そのとき後ろからがさっと音がした。
...風?
でもまたガサガサと音がする。
誰かいる!?
動物!?
それとももしかして、、
幽霊!?
一気に血の気が引いて、それでもあたしは勇気を振り絞って後ろを振り向いた。
小さな灯りがユラユラ揺れていた。
火の玉...だ。
ゆっくりとその火の玉が草影から姿を現した。
あたしは絶叫する。
「悪霊退散悪霊退散!ごめんなさーい!!」
でもすぐにその絶叫はおさまった。
「...たまちゃん!?」
姿を現したのはマコちんだったから。
「よかった、ここにいた。」
「...なんで?」
「花火見るって約束したのに、たまちゃんいないんだもん。探したよ。」
「...なんで?」
「なんでって...昨日こと謝りたくて。」
「そうじゃなくて、」
そう。
今は謝るとかどうでもいいの。
あたしが知りたいのは...