あのころ、グラフィティ
フク グラフィティ
ーあいつのことを聞かれたのは、これで4人目ー



「陣内貫知らね?」


「知らねーし...」


オレ、陣内福の双子の兄、貫は誰からにも人気がある。


「体操着借りてたんだけどさ。」

「んなの、携帯で連絡しろよ。」

「アドしんねーの。昨日喋るようになったからさ。...福なら双子だし、知ってかなぁと思って。」

「...あのね、双子だからってあいつの居場所まで分かるわけねーだろ。むしろ以心伝心なんてイ・ヤだね、気持ち悪い。」

「おまえらって本当に仲悪いんだな。」

「まぁね、これ自慢。」

「いや、自慢じゃないと思う...まずいいや。探してみる。」



どいつもこいつも、あんなヤツのどこがいいんだか。

オレの方が、数倍優しいし、数倍かっこいいのに...




「あ、陣内!」
「貫くーん!」

廊下であいつを呼ぶ声がする。
オレは教室の窓から顔を出した。


集ってる。


「へんだ!どこがいいんだか...」






「ふっくん!」

突然目の前に現れた里沙の顔に驚いた。


「なんだ、里沙か。」

「なに、不満!?」

「あ、いや...」

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