続・年上の男
「へへっ・・・おいしい」
「そ?良かった」
その後は車に戻る途中にあったお団子屋さんで、お団子を買ってもらった。
歩きながら矢崎さんに話しかける。
「矢崎さんは兄弟いるんですか?」
「ああ・・・3人兄弟の長男」
「男ばっかり?」
「そ、男ばっかり」
「皆さん働いてるんですか?」
「いや、一番下はまだ大学生」
「そうですか」
「大学といえばさ、柊子ちゃんは大学行くの?」
「あ~・・・家から通えるところに行きたいので・・・調理師専門学校あたり・・」
「へ~、料理すきなの?」
「嫌いじゃないんですけど・・・味オンチらしくて・・・まずいと言われます」
「ぷっ」
「笑い事じゃないんです・・お母さんと同じように作っても、全く違う味になっちゃって・・・お母さんも「なんでかしら~」って言って、もう教えてくれなくなりました・・・」
「ププッ」
ちょっと矢崎さんのツボに入ったらしい。
「・・・笑いすぎです・・・」
運転しながら、ずっとクスクス笑ってる。
「ごめんごめん。柊子ちゃん面白いから」
「面白い?・・・普通です」
私が答えると・・・やっぱりフフって笑っていた。
「・・・これから、どこか行きたいところある?」
「そうですねぇ・・・・海行きたいです」
「海?」
「うん。車じゃないと行けなし・・・」
「了解」
「ごめんなさい」
「なにが?」
「運転大変なのに・・・」
「別に。運転は好きだから」
『好き』の言葉に反応する自分が悲しい。
私にも言って欲しい・・・ムリだけど。
「ありがとうです」
「どういたしまして」
やっぱり・・・かっこいいんだよなぁ。