続・年上の男
途中、お昼を食べてから着いた海。
告白したときとは違う場所に来ていた。
暑さも丁度良くて、涼しい風が吹いている。
「この時期にくるといいね」
矢崎さんが呟くように言った。
少し後ろを歩く私は、
「そうですね」
と、返す。
・・2ヶ月前もこの背中を見ていた。
歩いていた足を止めると矢崎さんは海を見ながら言った。
「俺さ、柊子ちゃんが思ってくれるような男じゃないよ?」
突然のことに驚く。
「え?」
「学生の頃の俺なんて、めちゃくちゃだったし。女関係も酷かった。最近少し落ち着いてるけど・・・一言で言うと嫌な奴だった」
「矢崎さん?」
何を言おうとしているのかがわからない。
「全然大人じゃないしね」
困ったように笑う矢崎さんは・・・・やっぱりかっこよくて。
「・・・そんなことないですよ・・・」
どう、答えていいのかわからなかった。
「この前、海に行ったときさ」
「・・・はい」
「正直、あそこで告白されるとは思ってなくて・・・」
「え?」
シナリオは?
「シナリオじゃなかったんですか?」
「シナリオ!?」
「遥が、海で告白させたのはシナリオだって・・・」
「ああ・・・達人が・・・」
達人。
遥・・・矢崎さんの中であなたは達人になったようです。
「言ったじゃん。俺、そんなに大人じゃないって」
優しく微笑むやさきさんを見てると、これも大人の余裕にしか見えないんだよなぁ。
「あ、じゃあ・・・メールは?」
思い切って聞いてしまおう。
「メール?」