続・年上の男


途中、お昼を食べてから着いた海。

告白したときとは違う場所に来ていた。

暑さも丁度良くて、涼しい風が吹いている。

「この時期にくるといいね」

矢崎さんが呟くように言った。

少し後ろを歩く私は、

「そうですね」

と、返す。

・・2ヶ月前もこの背中を見ていた。


歩いていた足を止めると矢崎さんは海を見ながら言った。

「俺さ、柊子ちゃんが思ってくれるような男じゃないよ?」

突然のことに驚く。

「え?」

「学生の頃の俺なんて、めちゃくちゃだったし。女関係も酷かった。最近少し落ち着いてるけど・・・一言で言うと嫌な奴だった」

「矢崎さん?」

何を言おうとしているのかがわからない。

「全然大人じゃないしね」

困ったように笑う矢崎さんは・・・・やっぱりかっこよくて。

「・・・そんなことないですよ・・・」

どう、答えていいのかわからなかった。


「この前、海に行ったときさ」

「・・・はい」

「正直、あそこで告白されるとは思ってなくて・・・」

「え?」

シナリオは?

「シナリオじゃなかったんですか?」

「シナリオ!?」

「遥が、海で告白させたのはシナリオだって・・・」

「ああ・・・達人が・・・」

達人。

遥・・・矢崎さんの中であなたは達人になったようです。

「言ったじゃん。俺、そんなに大人じゃないって」

優しく微笑むやさきさんを見てると、これも大人の余裕にしか見えないんだよなぁ。




「あ、じゃあ・・・メールは?」

思い切って聞いてしまおう。

「メール?」













< 13 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop