ささやく言葉はI LOVE YOU
「由香、用事済んだの?ミーティング間に合ってよかったじゃん。」
「・・うん・・。」
部長が私に向かってきつい調子で言う。
「選手選抜強化訓練が始まるよ、由香。みんなあんたに期待してるんだからね。」
そうだよ、今年の夏に全国大会にむけて全力をそそぐんだ!
アイツにドキドキしている暇はない。
でも練習メニューをきいたところで何も耳には入ってこなかった。
帰り道ミコが私に
「なにかあった?言いたくなったらいつでも聞くからね。」
ありがとう、ミコ。
でも、私も今は自分の気持ちがまだ分からない。
「由香ってさ自分で知ってやってるの?その仕草や表情?」
まじまじ見られる私の顔。
「ハア?」
「まあ、あんたの事だから知らないと思うけど、罪つくりな顔するよね。」
「????」
「ほら、ほらその顔だよ、黒目がちな目がさー、こうー、
あーーいいや!説明できない!とにかくほおって置けない顔になる訳よ。」
二人で馬鹿笑いした帰り道。13歳で何も知らなかったミコと私がいた。