ささやく言葉はI  LOVE YOU
「ハイ、お弁当。
由香のは大きい箱。
こっちの小さいのがジャスティン」


「おかあさんありがとう」

そう言ってアイツが
おかあさんのほっぺに
ありがとうのキス。



「今日の練習遅くなる?」


「多分8時ごろになると思うよ。
なんで?」

いつもはそんな事聞かないのに
心配そうに聞いてくるおかあさん。


「最近この辺痴漢がでるんだって。
危ないから一緒に帰ってきてよ。
お願いよ、ジャスティン」



「OK!任せて」
大きくおかあさんにウインク。

こんな状況なのを
知ってか知らずか
そんな事を頼む我が母親。


二人して家を出る。

いつもならここで
すかさず手を繋いで
歩くんだけど
気まずくてつなげない・・・。


「練習が早く終わった方が
待ってる、いいね」


そう言って私の持っている
スポーツバックをひょいと
私の肩から外す。



「・・・うん・・」

バスの中でも私がよろけない様
腰に手を回してくれている。


こんな優しさが今は辛い。






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