ささやく言葉はI  LOVE YOU



次の瞬間手首をつかまれた。


「由香は眠れた?」

半分開いた目は長い睫毛に覆われて
そこだけ黒い絵の具を落としたみたいだった。

・・・黒は私の好きな色・・・・・・


首をゆっくり横に振る。


手首をグイっと引っ張られて
赤くて、小さくて、硬いソファーに引き寄せられた。


・・・赤は私の好きな色・・・・・。


一人で座るにはちょっとだけ大きい。
二人で座るには全然せまい。


そんなソファーに体がぴったりくっついて
私とアイツは座った。


座ったっといっても
私のおしりの半分はアイツの膝のうえ。

体が近い。


「なんで此処に居るの?」

顔が近い。



「先生公認のさぼり」

そんなの有り?


私は少し首をかしげた。

アイツも少し首をかしげる。

唇が近い。







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