ラブランク
「こんにちは。」

レイは爽やかな笑顔を浮

かべる。

私は立ち尽くしてしまっ

た。どうして彼がここに

…。

「菜摘さんに教えてもらっちゃいました。」

あ〜そういう事…。

「本日はありがとうございます。」

私は営業トークをするし

かない。

「今日はどのように致しますか?」

椅子に座り、顧客ファイ

ルを開く。彼も私の向か

えに座る。部屋に入る前

にスタッフの女の子に渡

されたリストには彼の名

前と住所、生年月日が直

筆で記入されていた。

………ハタチだ。

「えっと、この前言ってた…あの〜マッサージしてなんとかを…。」

「はい、ではこちらのDコースになりますね。ハンドマッサージ、その後爪の形を整えて最後に爪を磨きます……。」

いわゆるメニューを差し

出す。

「それでお願いします。」

彼は店に行く前だろう。

スーツ姿だ。上着は腕に

かけ、白いワイシャツに

黒に細いストライブが入

ったズボンをはいている



「こちらへどうぞ。」

三畳ほどの壁側にあるリ

クライニングチェアーに

彼を案内した。
< 15 / 72 >

この作品をシェア

pagetop