ラブランク
「失礼します。」

私はまず、彼の左手をと

りマッサージを始める。

細くて白い手。指が長く

爪の形もいい。男の人の

理想の手だ。

ツボの位置を軽く押す。

「痛くないですか?」

いつめもなら『お仕事お

休みですか』とか『どな

たかの紹介ですか』とか

そんな会話から入るが、

彼はこれから出勤で菜摘

に聞いてここに来たのだ

ろう。

「あ〜気持ちいい〜。こんなにいいモンならもっと早く来たかった〜!」

「ありがとうございます……。」

−−−やっぱり私は営業

トークを繰り返す。
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