ラブランク
『店、もう終わるんだ!会えない?』

私は、菜摘の店で飲んで

いた。

『今、菜摘のお店。おいでよ。』

そう、メールを返し、

「レイ、来るって。お店早じまいだって。」

と、菜摘に告げる。

時計はまだ11時前だ。

「ホント!なんだかんだ言って、うまくやってるみたいだね!」

今日はボックス席に一組

のお客さんがいるだけで

菜摘は私の専属なのが嬉

しい。

「もう付き合ってたりとか、するワケ?」

「まさか!…でも、会ってたりすると楽しいよ。」

菜摘には正直に何でも話

せる。菜摘は笑みを浮か

べて頷く。

「思いきって、付き合っちゃえば!何かそう踏み出せない理由なんて、ないじゃない!」

本気で言っている菜摘の

顔から笑いが消える。

「…うん、でもレイに会うたび、好きになっちゃいけない、って思えるの……。どうしてだろう……。」

私はカクテルに口を付け

る。

それは本当だった。彼に

優しくされるたび、彼の

愛を感じるたびに、これ

以上深入りしてはいけな

い、という気持ちになる



「レイが年下だから…?」

「……。」

「それともホスト、してるから…?」

「……。」

どちらも、気にならない

とは言えない。心のどこ

かで、そのうち私なんか

に飽きてしまうのではな

いかと思う時もある。

「まだ、ヒデ君の事忘れていないんでしょ…。」

菜摘は悲しそうな目で私

を見つめた。
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