ラブランク
菜摘は立ち上がり、レイ

を迎える。彼は私と目が

合うと微笑んで真っ直ぐ

私に向かって来る。

「こんばんは。」

そして、そう言って隣に

座った。

「珍しいわね、早じまいなんて!ビールでいいかな?」

「うん。」

レイは軽く頷く。

「お客さんが少ないから、今日はもう閉めるってオーナーが。」

「そういえば、成績いいんだって!レイ君!」

レイの前にビールが運ば

れてくる。

「情報、早いっすね、菜摘さん。乾杯!」

彼はまんざらでもない顔

で私のグラスと合わせた



「No.3まできてるんだって〜。」

次は、菜摘がグラスを合

わせる。

そうなんだ…。そこは、

私の知らないレイがいた

。彼は仕事の話しはしな

い。私も聞く事はなかっ

た。聞きたくはなかった



「ごめん、ちょっと買い出し行くね!」

菜摘は私達を気遣うよう

に、財布を持ち、店を出

る。

「……。」

私はタイミングを外した

ようで……。

「今日は車じゃないんで、タクシーで送るね。」

急にそう言った、レイが

とても可笑しい。

「大丈夫よ、一人で帰れるよ。」

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