ラブランク
思わず大きな声で、自分

でビックリしてしまった



私は口を押さえ、周りを

見渡したが、お店の音楽

で他人(ひと)には聞こ

えなかったようだ…。

誰も私達に関心はないよ

うだ。レイはカウンター

で一人、タバコを吸って

いる。そして、安心して

またヒデの方を向く。

「………。」

彼は私の問い掛けには答

えず、話しを続ける。

「…それで、俺が美幸にこの街を出ようって言ったんだ。」

「…そうなんだ。」

そんな言葉しか見つから

なかった私は、肩の力が

抜けるのが分かった。

……そんな事になってた

んだ。自分を責める気持

ちと、ヒデを責める気持

ち、そして美幸を責める

気持ちが等分になってき

た。

「アイツの両親の故郷に行ったんだ。ここから3時間位のトコ…。しばらくしたら、流産したって言われて……。」

ヒデは怒ったような表情

をしたように見えた。

「えっ、じゃあ子供は…いないの?」

もう、彼の言葉について

いけないよ。頭が回転で

きないよ…。
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