ラブランク
私達はそのまま店を出た



菜摘には、今度ゆっくり

話すね、と告げた。

レイは一言も言葉を出さ

ない。表情が硬く見えた



「…少し、歩こうか。」

私はそう告げる。

「…うん。」

彼はやっと私の顔を見て

頷いた。

雨は上がっている。ひん

やりとした空気が夜の騒

がしい街を包み込んでい

る。

彼は私の手を握り、少し

足早に歩く。いつものよ

うに車道側を歩き、向か

い側から人が来ると私を

かばうようにしてくれる

。さりげない優しさがま

た私の心を温かくしてく

れた。

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