王龍
キーンコーンカーンコーン


「あ、予鈴鳴った!じゃ、うち、行くわ」


そう言うや否やうちは走り去った

それからすべての授業を終え、下校時間


家の方角が同じの由愛と別れ、1人で帰路についていたとき、事件は起こった


それは、本当に突然のことだった


PLLLLL PLLLLL


携帯が鳴って、ディスプレイを見ると"非通知"て表示されていた


それをうちは何の迷いもなく、出た


「はい、もしもし?」


『もしもーし。凪瑠ちゃーん♪』


「…っ!?」


ねっとりとした気持ち悪い声…


蘇るあの頃の忌々しい記憶…


早まる鼓動…


汗ばむ体…


私の全てがこの声に拒絶反応を起こしていた


「ど…して…」


やっと絞りだしたこの声は、本当に自分の声かと疑うほど、か細く震えていた


『んー?凪瑠ちゃんに会いたかったから、脱獄しちゃった♪』


パリンッ


携帯が手から滑り落ち、画面が、割れた


ポタッ ポタッ


これから起こることの前触れのように、空には黒い雲がかかり、雨がふりだした





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