王龍
ガラッ


ビクッ


急に開いたドアに体を震わせる


掃除用具入れの狭い隙間から、覗くと…


そこには、ボコボコにされ、引き摺られる蓮と、アイツがおった


「…っ!」


蓮がっ…!


急いで出ようとしたところを、後ろからギュッと締め付けられた


…まだ、抱き合ったままやった


「…なにすんねんっ!」


そう言おうとした言葉も、千尋から口を押さえられたことにより、言えなくなった


あんなに可愛い千尋でも、男


さっきのうちは、隙がありすぎたから、そこを狙ってうちを止めることは造作ないことや


「凪ー瑠ーちゃんっ♪」


ビクッ


気持ち悪い声


もう二度と頭から離れんこの声に


やはり、うちの体は拒否反応をおこしていた


「…なんや、ここにもおらんのか」


そう呟き、出ていこうとした瞬間


…合うはずのない目が…合った


「…見ぃつーけたっ」


「キャァァァァッ」


ニカニカと笑いながらこっちに来るアイツをみて、うちは掃除用具入れを出た


「…こんといて…こんといて…」


震える体を必死に両手で止めながら、目はおじさんを見ていた


やだ


やだ





やだ……………


もう、あの頃に戻りたくない


うちは、


うちは……………





もう、誰にも支配されたく、ない






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