王龍
「僕と一緒に帰ろう?こんなカス共と一緒にいたら、凪瑠ちゃんが汚れちょうよ」


そう言って伸びてきた手


それを見て、反射的に、うちは目を閉じた


「…凪瑠っ」


バチッ


うちのことを呼ぶ声と、その直後に聞こえた音…


ゆっくり、目をあけると、そこには


…隼人がいた


隼人はおじさんの手を叩き、うちが捕まるのを阻止してくれたみたいだった


「…ど…して…」


「…千尋がいつまでたっても、電話にでらんから、探しに来た」


「えっへへーごめんねぇ?」


「…お前ら、誰や?僕の凪瑠ちゃんに触らんといてくれる?汚れるわ」


「…あんたが触ったほうが汚れるんちゃう?」


「…なんやとぉっ!?」


怒り心頭し、今にも襲い掛かりそうなおじさんを見て、誰もが自分の身を心配したとき………


「…俺は………凪瑠の彼氏やぁぁぁぁぁっ!!!」


突然、運動場から意味不明な言葉が聞こえてきた


…うち、彼氏おらんのやけど


「…なんやてぇ?」


だけど、そんなことをおじさんは知るはずもなく、何故か怒ってしまった


「…少し待っとけ。先にあいつらから、殺ってくる」


「…お」


「凪瑠ちゃん、待っててねぇ」


うちの言葉を遮り、妖しい笑みを残して、教室を出ていった


「…蓮っ!大丈夫?」


「…ウッ…これくらい、どうってことないっスよ。…それより」


そう言って、蓮は視線を運動場側の窓に移した


不思議に思って運動場を見てみると


「…ど、して…」


運動場には、王龍メンバーが全員そろっていた





< 53 / 149 >

この作品をシェア

pagetop