王龍
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──3年前


「かーえでっ♪」


「おー姫。おはようさん」


当時中3やったうちと、高2やった楓は付きおうてた


楓は王龍第11代総長で、その時うちは幹部をしていた


…こんなにも愛しい人に出会えるなんて…人生、不幸な事ばかりやない


そう思ってたんや


うちは、思い出したくもない過去をもっていた


未だにその夢を見ることもある


その過去の事件が解決しても…うちの心は晴れなかった


死にたくて、死にたくて…


でも、自分で死ぬ勇気なんてなくて…


溢れる涙を止める方法を知らなくて…


止めるために空を仰いだ


…うちは、こんな人生が送りたいんやない


なんでうちだけなん…


なんでうちだけ…幸せじゃないの………?


…そうして、過ごしていたうちの前に楓が現れた


嬉しかった


闇のなかでたたずむうちに手を差し伸べてくれて、光のあるところにつれていってくれた


それからは、本間に毎日が楽しかった


…これが幸せなんや…って思った


こんな幸せがずっと続くと思ってた


こんな幸せがずっと続けばいいと願ってた


けど、今まで幸せを感じたことがないうちは知らんかったんや


…幸せは長くは続かないという事を





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