王龍
………………………けど


「……………誰か来る。複数の足音………やな」


「せやな。しゃーないな。脱走は先延ばしや」


その複数の足音は、うちの病室の前で止まった


……………青龍か


「………うち、やっぱ高校行かんわ」


「………なんでや?」


「青龍がおるから」


よく考えてみれば、王龍の総長とバレたいま、高校に行ってればいろいろと面倒なことになる


そんな面倒を乗り越えてまで、高校行く必要ないし


それに………今丁度聞き耳たててくれてるわけやし


「…別にええけど?それか、俺らのとこ来るか?」


………和くんたちの高校?


「あれ?今、大学生やろ?」


「母校や、母校」


「…あぁ。成る程」


………どうせ行かんないけんのやったらそうしようかな…


「由紀恵さんたちに言ってみる」


由紀恵さんって言うのは今のうちの母親


まぁ、俗に言う育ての親ってやつ


結構おちゃめな人で、めちゃくちゃ可愛い





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