王龍
「…俺らには言えないんですか?」


「………青龍」


水嶋の声とともに入ってきた青龍


「………友達に戻るなんて御免や」


謝るほうの"ごめん"じゃなくて、断るほうの"ごめん"をうちは選んだ


…だって、、、


うちが、王龍の総長って、こいつら分かってんねんで?


今更昔に戻る?


そんなん、出来るわけないやろ


男は血に飢えた野獣


女は美しく、残酷な女神


そう、教えられてきた


………そやろ?


なら、その、血に飢えた野獣なら、欲望にも忠実なはずや


うち、いつ、何をされるか分かったもんじゃない


うちは、誰一人信用せぇへん


例え、和くんでも、蓮でも、隼人でも、由愛でも


和くんたち、王龍には心を許してるだけ


信用するのとはまた違う


"信用すれば、いつかは必ず裏切られる"


そう、身を持って知った幼い頃


教えたのは、おじさん、やった


あの時のことなんか、思いだしたくもない


思い出すだけで、吐き気がする


その過去に戻りたくないから、うちは、信用なんかしない


………逃げてるんや


うちは、あの過去から、逃げてるんや


そんなん、分かってる


自分のことやから





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