王龍
「…………凪瑠ちゃん。一緒に帰ろう?」


「うんっ♪」


施設に別れを告げず、おじさんについていく


外に出たボールは、施設の外に出たままだった


────────────
──────────


「…………………おじしゃぁん。ここ、どこぉ?おじしゃんの家じゃないよぉ?」


「……………いや、僕の家だよ?新しくなったんだ」


「そぉなんだぁっ!」


「そう。さ、こっちにおいで」


連れていかれた先は、大きな部屋だった


ガチャ………


おじさんは、鍵を閉め…


「……………キャァッ」


凪瑠を、蹴り飛ばした


…………………この時から、おじさんの凪瑠に対する虐待は、始まった


それからの凪瑠は、ずっとこの大きな部屋に監禁され、虐待され続けた


大きな部屋に一人だけでいるのは、すごく虚しかった


気付けば年は流れ、幼稚園から中学生にまでなっていた


もちろん学校など行っていない


行けるはずがない


だが、幼い頃から英才教育を受けてきた凪瑠は、大学レベルくらいは余裕でできる


だから、行く必要もなかった


そしてある日…………


近所の人の訴えで、おじさんは捕まった





< 89 / 149 >

この作品をシェア

pagetop