6時57分のあの電車で
「今、帰ったんだけど・・・今日の夕飯のお弁当買って来るね。」
私は、ニッと笑ってみせる。
「ちゃんと着替えろよ・・・。
あと、気を付けろよ、この辺は面倒な奴らが多いらしいからな・・・。」
兄は、だいぶ意識が、ハッキリしてきたらしく、言動もしっかりしてきた。
・・・面倒な奴らとは、金龍達のことなんだろうか。
「・・・うん、大丈夫だよ、ただの噂だよ・・・。
それに、お兄ちゃんが外に出なくなったのって、結構前じゃん!
心配しなくて、いいから。」
「・・・そうか。
真子、あんな奴らには絶対近づくなよ。
あいつらは、人殺しだ。」
いつになく、真剣な眼差しの兄を前にすると、憧れているなど言えない。
「分かってるって。
じゃあ、着替えたら行ってくるね。」
私は、そう言うと逃げるように、部屋を出て自分の部屋に向かった。