ふたりでひとつ
一度目。
医師は言った。
「妊娠しずらくなっている」と。

三度目。
医師は言った。
「子供は諦めた方がいい」と。

医師の言葉は虚しく
妊娠した。

沙織も賢二もわかってはいた。
妊娠しても生まれてくるまでは安心出来ないと。

今度は妊娠がわかったときから入院した。
お腹の子が双子だと知ったときこれが最後だと思った。
沙織の心も身体もボロボロだった。

医師も沙織も賢二もこの双子を死なせるわけにはいかなかった。
帝王切開で確実に産んだ。


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