世の中の
露草
※
授業中、翔は窓を見ながら、物思いにふけっていた。
―今日はいい日だ。暖かい。
うん、こんな日には花見をしよう。桜は咲いてないけど……。
ドカーン!!!
―グランドの方で爆発が起こったらしい
でもそんなことさえ気にならない、いい日だった。
みんなは窓からグランを見る。
先生は「飯田友也の仕業か!!!」と言っている
しかし僕は気にしない。
だってこんなにいい日じゃな…ちょっと待てよ
「ん…?爆弾?友也?」
とやっと物事の重大さに気付いた翔は急いで窓を見た。
―穴が開いている…。
グランドに大きく穴が空いており、穴の付近には、友也が立っていた。
「ウェルカムトゥー十二島!!!」
と大声で言っている。
―なにしてんだ…あいつ。
「飯田ー!!」
先生が駆けつけて来た
「来たな!!豚共!!」
友也は待ってましたと言わんばかりに笑っている。
「アーユーレディ?」
そう挑発じみたことを言い、走り出した。さすが高校生、先生は追い付けないようだ
「最強の逃走者になってやるー!!」
と大声で言いながら、体育館倉庫に入る友也。
「ウハハハハハハ」
高笑いをしながら…
何故体育館倉庫に?
袋のネズミじゃないか
と誰もが思ったが、翔だけは理解していた
―たしか、体育館倉庫と教室を繋ぐ通路を作ったって言ってたな
と思った瞬間、掃除ロッカーのドアが開き、中から友也が出てきた
「フハハハハハハ」
相変わらずの高笑いのまま、また走り出した
みんなは驚いていた
「え…どうやって…?」
と反応。
友也は翔の姿を見つけ
「翔も一緒に鬼ごっこする?」
と、明るく言われた
「え、いい…」
「そーお?ならいいや」
また走り出す友也。
―つーかあんた強制退学になるぞ
と冷静に思った翔であった。