世の中の

その同時刻

「飯田友也。16歳。十二島高校に通う、普通の学生」

珍しく新一が長文で喋っていた
黙って聞いている仁と唯

「学校のグランドで爆弾を爆発させ、今は先生に追いかけられている。処分は退学。学校側は警察には通報しないよう」

「……」

呆気にとられる仁。
―何で知ってる?
と内心思っていた。

「只今、山本翔の家に匿っていたが、見つかり、追いかけられ―」
「すごーい!!」

話の途中で唯が声をあげた

「新ちゃんってエスパー?」

唯の問いに対し、新一は黙って首を横に振る。

「エスパーじゃなかったら、宇宙人?情報何とか体?」

おちゃらけ口調になっていることから、どうやら飽きてしまったらしい。

「……」

さっきとは正反対で新一は黙りこくっていた
「唯、黙れ」

暴走する唯を抑えるために仁が口を挟む

「話、逸れすぎだ。それと新一に質問攻めするな」

「嫉妬?あはっ!!仁ってもしかして新ちゃ―」

「おまえの世界に持っていくな!!」

唯があっちの世界に入る前に、仁は制御した
「……」

それを黙って見つめる新一

暫く黙っていた新一が無表情のまま口を開く
「まだ犯人捕まってないよね」

「?」

何のことだが分からず、首をかしげる唯。
仁も怪訝そうな顔をした

「通り魔。犯人」

単語だけで説明されたが何の意味か分かった。あとは勝手に唯が話を進めていく

「そういえば、性別しか分かってないよね」
「そうだな」

やはり仁が応える。新一は黙って話を聞いている

「ねえ、私たちで捕まえない?」

唯は目を輝かせて言った

「無理だろ」

唯の意見を一蹴した仁。

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