世の中の
※
―古い洋館にて
「見ろよ。これ」
茶髪の男、仁は隣にいた唯と新一に新聞の記事を見せた。
昼に路地裏で少女二人が喧嘩をした、という内容だった。
一人の少女がもう一人の少女をナイフで刺し、逃亡。その後、目撃者の証言で逃亡した少女も警察に事情を説明された。
と新聞に書いてあった。
「それがどうしたの?」
ファーストフードで買ったジュースを飲みながら大して興味なさそうに唯が仁に聞いた。
「この少女…あ、刺した方な、知り合いなんだよ」
「ふーん。出会い系で知り合ったの?」
「ばかっ!!なんでそうなるんだよ!!!」
唯はジュースを勢いよくテーブルに置き、
「だって!!いつもいつも携帯とにらめっこ!!お母さんもううんざりよっ!!」
「…いつからおまえ俺の母さんになった?つーかなおまえ…俺は出会い系サイトやったことねーんだよ!!!」
「…で、その子がどーしたの?」
怒鳴る仁をなだめるように、新一が割って入ってきた
「お、そうだった」
仁は小さく咳払いをし
「問題起こしたから、親に家から追い出されたんだとよ」
「うわっ可哀想」
棒読みで言う唯を無視し、仁は続ける
「泊まる場所もないし、ホテルに泊まれる金もねーんだとよ。だからさ、唯。おまえん家泊まらせてくれね?一泊だけでいいから」
「うん、いいよ」
「サンキュー」
「話終了?だったら今から寝るから」
そう言って、ソファに横になり、わずか五秒で寝息が聞こえ始めた