世の中の

「もしもし」

予想外にもでて、すこし驚いたが、すぐに冷静になり

「あ、唯だけどー、ちょっといろいろあって、家に帰れないから」
いつも通りの明るい声で言った

「わかりました」

「じゃ、よろしくねー」

そう言った後、電話を切った。

「…ふう」

また小さくため息をつくと、携帯を閉じた

「てか、何で誰もお見舞いに来てくれないの!!」

枕を壁に投げつけ、今までの不満をぶつけまくる

「私のことが、嫌いなのかっ!!」

今度は近くにあった誰かの鞄を投げつけた。

利き手じゃないので、方向は変だが、唯は気にしない

「おい、うるさいぞ」

知り合いの医者が部屋に入ってきた

「レディの部屋にノックもなしに入るなんて無礼よ!!」

と不満をぶつけるが、この医者は動じなかった

「よく言うじゃないか。便りがないのは元気の証拠って」

「…なんか、違うような気もする」

珍しく唯が冷静にツッコむと、医者は「はは」と笑い

「ま、おまえも大丈夫だし、桂たちの元に行けば?」

「桂…?誰?」

怪訝そうな顔をする唯に、医者は一言

「新一の名字ぐらい覚えとけよ」

「新ちゃんね!!新ちゃんとはどういう関係?ボーイズラブ的な?」

「俺たちボーイズって年違うしな」

返答はおかしいが、唯は納得し、つまらなそうな顔をした

< 33 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop