世の中の
その表情に気づいてか否か、田中は不敵に微笑むと
「君さ、犯人を捕まえたいなら、城崎仁っていう男を頼るといいよ」
「…城崎…仁?」
「そう。そいつなら協力してくれるよ。今日の晩、そいつはあの別荘に行くから。君もいってみるといい」
「わかりました」
友也は何か不可解に思ったが、ま、いいかとすぐに思い直し
「ありがとうございました」
と表面上は純粋な笑顔を作った。
「あ、ちょっと待って」
男は飄々とした口調で
「そこに黒いバッグあるじゃん」
男が指を指した先には、たしかに黒いバッグが置いてあった。
「あ、はい」
「開けてみ」
「…はい」
言われたままその鞄のチャックを開けた。
中には、何枚かをホッチキスで止めた紙が何個かあった。
友也が田中の方をこれがどうしたと言わんばかりに見た。
田中は未だニヤニヤした顔で
「とっていいよ。一個だけ」
「…どーも」
相手の意図はわからなかったが、貰える物は貰った方がいいと友也は思ったので、適当に真ん中のを取った。
「チャックはちゃんと閉めといてね」
「はーい」
※
「んで、これがその紙」
「てか、意気投合してないよね?銭湯でもないし」
「感想がそこかよ」
翔は苦笑いする友也の手から紙を取った