世の中の
―"絶対"ときたか
仁は唯に対して、恋愛感情は全くない。
ただかわいいとは思うが。
もし、仁が恋愛感情をもったならば、唯は仁から離れるであろう。
本人曰く、恋愛などくだらない、らしい。
十二島随一のかわいらしさと書いたが、唯も自分はかわいい部類に入ると自覚していた。
自意識過剰という低レベルの自覚ではない。
それに次いで頭もいいし、運動神経もよかった。
付き合った男性も何人かいた。
しかし全員、自分を自慢の道具にした。それを唯は嫌ったのだ。
自慢の道具に使われるぐらいなら、付き合わない方がマシ、と思い、唯は自分から恋愛感情というのを無くした。
まぁそんなわけだ。
「着いた」
田中がそう呟いたあと、三人の顔には緊張の色が見えた。
「あれ?」
二人の少年が、近づいてきた。
一人は紙を茶髪にし、その上からニット帽を被り、パーカーとジーンズを履いていた。
もう一人は、黒髪で無造作ヘアー。
何やら高そうな服を着ていた。
仁は後者の方は少なからず知っていた。
山本翔。
お金持ちの坊っちゃんだ。
東京に住んでたいたが、この島を開拓するために来た奴の息子。
しかし、その奴も、この島を気に入り、開拓の話はなしになった。
「田中さん!!」
そう声を挙げたのは、仁の知らない方の少年だった。
「友也くん」
二人は友が久しぶりの再会をした様に、抱き合った。
「誰?」
「友也くん」
「それは知ってる」