世の中の

でも今回は何かが違うような気もした。

誰も助けてはくれない。

遊びじゃない、事件なのだ。


ここまで考えが達したとき、不意に声が聞こえた。
顔を上げるとそこには新一がいた。

「怖い?」

氷のような冷たい声で新一は真っ直ぐな瞳で翔をみながら言った。

「大丈夫です」

「そう、ならいいや」

そう言って、仁たちの方へ行く新一。


―何だったんだろ…?

「いっそのこと爆破…」

「ダメだ!!!」

友也の提案をすぐに却下する仁。
会って間もない関係とは思えないほどだった。




その頃、仁たちとは反対方向の庭のところに、一人の少女がいた。

長らく出なかった、吉原だった。


予め、準備しておいたところから屋敷へと侵入する。

真っ直ぐ、亦部夫妻の寝室に向かう吉原。


カチャ

静かにドアを開き、寝室を覗く。

亦部夫妻はスースー寝息をたてながら、寝ていた。


―どうやら犯人はまだいないようですわね


ボスッ

鈍い音が静かな屋敷内に響く。

吉原の頭に衝撃が走った。

「うっ…」

と、小さなうめき声をあげたあと、そのまま床に倒れた。


「じゃあな、吉原」

犯人はそう言って、持っていたバッドをその場に捨て、ナイフに持ち変えた。

「死ね!!」

「させるかぁぁああ!!!」

そう言ってサッカーボールが犯人の手に当たり、ナイフは手から離れていった。


「ちょっとコナンを意識してみた」

と、得意気に言う友也。

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