世の中の
―〇〇
古い事務所の中、男が一人、椅子に座りながら手紙らしきものを読んでいた。
―不意に、紙をぐちゃぐちゃに丸め、ゴミ箱に放り投げた。
「あーあ…結局いつもと同じ、俺の予想通りか」
つまらなそうに独り言を呟き、よっこらせと言ったあと、今時珍しい黒電話でどこかに連絡しはじめた。
暫くすると相手が電話に出た。
「あー…俺だけど?オレオレ。え…?いや、オレオレ詐欺じゃないから」
…
「うん、そう。じゃあよろしくな、リン」
電話を切ったあとニヤリと笑った。