世の中の
※
とあるファーストフード店より。
「それにしても、不思議な子だね」
唯がオレンジジュースが入っているカップに飴を入れて回していた。
「早雪のことか?」
唯の真正面に仁が座っていた。仁の隣には新一が座っている。
「うん。あの子、何か信仰でもしてるの?」
「珍しいな、おまえが他人のことあれこれ聞くなんて」
唯は飴を持ってる手を止めた。
「べ…別に興味なんて持ってないんだから…!!はい、ツンデレ風」
仁は呆れた目で唯を見たあと新一の方を見た。
「つーかお前はなんか喋ろよ」
「えっ…えぇ…」
急に話をフラれ動揺する新一を見て唯は笑った
「ハハッ!!新ちゃんに無理なこと言っちゃダメだよ~」
「おまえのその無駄なテンション、新一に分けてやれよ」
「絶対に嫌ー。ハハハ」
「……」
新一は二人の会話を聞きながら、昨日唯の家に泊まった少女、早雪のことを思い出していた。
∞
昨日の晩、少女を刺した子が仁に連れられて来た。
「………」
俯いて、何かにひどく怯えている様子だった。
「唯、よろしくな」
「うん」
唯は特にそれを気にする様子もなく、早雪が今日寝る部屋に案内した。
「あの子…どうしたの?」
唯とは裏腹に、新一は気になってしょうがなかった
「何か好きな子刺しちゃったらしいぞ」
「それだけであんな風になる?」
「いや、それだけって…」
仁は呆れた声になり、目線をテーブルの上にあるホットケーキに目線を落とした。
「お、旨そう」
と小声で言ったあと
「不可抗力で人刺しちゃったら普通はああなるだろ。好きな子なら尚更…」
「ふーん、そんなもんかな?」