世の中の



とあるファーストフード店より。

「それにしても、不思議な子だね」

唯がオレンジジュースが入っているカップに飴を入れて回していた。

「早雪のことか?」

唯の真正面に仁が座っていた。仁の隣には新一が座っている。


「うん。あの子、何か信仰でもしてるの?」

「珍しいな、おまえが他人のことあれこれ聞くなんて」


唯は飴を持ってる手を止めた。

「べ…別に興味なんて持ってないんだから…!!はい、ツンデレ風」

仁は呆れた目で唯を見たあと新一の方を見た。

「つーかお前はなんか喋ろよ」

「えっ…えぇ…」

急に話をフラれ動揺する新一を見て唯は笑った

「ハハッ!!新ちゃんに無理なこと言っちゃダメだよ~」

「おまえのその無駄なテンション、新一に分けてやれよ」

「絶対に嫌ー。ハハハ」

「……」

新一は二人の会話を聞きながら、昨日唯の家に泊まった少女、早雪のことを思い出していた。




昨日の晩、少女を刺した子が仁に連れられて来た。


「………」

俯いて、何かにひどく怯えている様子だった。

「唯、よろしくな」

「うん」

唯は特にそれを気にする様子もなく、早雪が今日寝る部屋に案内した。


「あの子…どうしたの?」

唯とは裏腹に、新一は気になってしょうがなかった

「何か好きな子刺しちゃったらしいぞ」

「それだけであんな風になる?」


「いや、それだけって…」

仁は呆れた声になり、目線をテーブルの上にあるホットケーキに目線を落とした。

「お、旨そう」

と小声で言ったあと

「不可抗力で人刺しちゃったら普通はああなるだろ。好きな子なら尚更…」

「ふーん、そんなもんかな?」


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