フェンス

深夜0:00

『そろそろ帰ろうか…』

時計をみながら真奈が言う。

『そうだな…そろそろ帰ろう。』

4人はゆっくり立ち上がりファミレスをあとにした。

『明日がこなきゃいいのになぁ』

『俺もそう思った。』

俺も真奈の言葉に同意する。

『明日落ちてたらいいな~』

『俺その言葉いってみてぇよ!!』

こんな時にまでまだ涼はみんなを笑わせてくれる。

その後もたわいない話はたえなかった。

少し歩いた所で…

『じゃあ俺こっちだから、また明日。』

涼が笑顔で手をふり暗い坂道を下っていく。

『待って!』

真奈は涼を追いかけていった。

きっと思いを伝えにいったのだろう。

『真優…帰ろうか。送ってくよ。』

『いいの?ありがとう。』

真優は微笑み、線路沿いの上り坂を歩きだした。

少しの沈黙が続く…
でもけして居心地が悪いわけではなく。

むしろ落ち着いた。

『なぁ…真優。』

『なぁに?』

『いや…』

『ん??』

『明日もしホワイトフェンスにいっても必ず会いにいくから。

……どうにかして。』

『うん、待ってる。』

真優は少し悲しそうに笑った。

『あのさ……手…繋いでもいいかな?』

少しうつむき気味の俺の手を真優は黙って優しく握ってくれた。

『なんか…照れるね。』

『そうだね…』

真優も照れているみたいで頬を染めたまま少しうつむき、目をあわせようとはしなかった。

初めて握った真優の手は凄く小さくてとても綺麗だった。

2人は月明かりに照らされながらゆっくりと家へと続く細い道を歩いていった。


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