フェンス
みんなが講堂をさっていく…
でも俺と真奈は席に座ったままぼーっとしていた。
『裕はこれからどうするの…?』
真奈が魂の抜けたような泣きはらした目で俺に問いかける。
『きめてない…真奈は?』
『私も決めてない…』
『フェンスの向こうってどうなってんだろうな?』
『わからない…』
『だよな…』
少しの沈黙の後、遠くから学生が『講堂かたづけるのであけて下さい。』と声をかけた。
周りを見渡すと講堂に残っていたのは裕と真奈の2人だけだった。
2人は立ち上がりゆっくりとその場を後にした。
講堂には椅子を片付ける音だけが響いていた―…