フェンス

『うん…ありがとう。秋斗さん…』

俺は少し微笑み涙をぐっとこらえた。

…―17:59

『裕…乗れ…。』

回線の変更が完了したようだ。

俺は一度カプセルの前で立ち止まると陣野のほうを向く。

『陣野…俺は負けない。』

そう告げ空のカプセルに乗り込んだ。

カプセルが閉まっていく―…

俺は携帯からのびる千切れたコードを抜き取った。

『もしもし?母さん?』

つながらない電話の向こうで母さんはどれだけ叫んでいたのだろうか…?

枯れた声が胸にしみる…

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