フェンス

一呼吸おいて小さく咳払いをした後…母さんはゆっくり話始めた。

『裕、あなたが今いる世界はこっちの世界にいる人間がつくりだした偽りの世界なの。』

『どういう意味…?』

『簡単にいうとあなたは今……ゲームの中のキャラクターでしかないの。』

『!?』

『ただ普通のゲームと違うのは…そっちにいる人達の本当の体は全てこっちにあるという事。

そっちの世界では30年前に地震があった"設定"になってるけどこっちの世界では本当は"地震"じゃなくて"大量の虐殺"が行われたわ…。

技術が発展したのをいいことに政府はアメリカを侵略するため…地球上でもっとも強い国をつくるために人工知能を持つ兵器を作ろうとしていた…

でも人工ではどうしてもこえられない壁があったの…

だから若くて吸収力のある柔軟な18歳の子の意識を…ゲームの世界に飛ばして優秀な子を選び、選び抜かれた子の意識を今開発中のデータとネット上で合併してそのまま兵器に組み込む気なのよ…』

『……何いってるの?母さん?そんなことあるわけない。俺が生きてきた18年がゲームの中だって?』

『裕…最後まで聞いて…。』

『…あぁ…ごめん。』

俺は少し取り乱した。
当たり前だろう。
今まで生きてきた世界がゲームの中の世界だと言われたら…誰でも取り乱すだろう。


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